くすのきのさいじき ~子どもたちの季節折々の楽しい行事や遊び~
6月 「雨の日のさんぽ」
「雨の日のさんぽ」
青々とした葉のつけ根に真っ赤な実を付けたやまもも。子どもたちが集まり、口元を赤くしながら嬉しそうに食べています。今年は例年に比べたくさん実りました。よく熟した黒々とした実はとても甘いのですが、酸っぱさがあり、この酸っぱさが疲れた身体を癒すとも言われています。やまももの側ではブルーベリーが子どもたちの楽しみに待っております。このような食の楽しみは、子どもたちの味覚の記憶として心の中に残ることでしょう。
大人にとって雨の日は厄介に感じることが多いのですが、「雨の日は楽しいね」と声をかけ雨ふりを子どもたちと楽しんでいます。日本人は昔から、水の音、風の音、虫の音など、自然の音を愛してきました。感情を移入したり癒しを求めたり、音楽と同じような効果を自然に求めてきたのです。雨粒が小さい時は「ぽつぽつ」「ぽつりぽつり」、雨粒が大きくなると「ぽとぽと」「ぽとりぽとり」「びしょびしょ」、雨が勢いをますと「ざぁー」「ざあざあ」「ごーごー」など、本当にいろいろな音を表現しています。窓から降る雨をながめながら、耳を澄まして雨が奏でる音楽を楽しみます。雨粒が落ちた場所によって弾ける音も違ってきますから、本当にたくさんの音との出会いがあります。保育の合間、お弁当の時などちょっとした時間にも雨と語り合います。
また時には、「雨の日のさんぽ」も楽しみます。これは年少組が一番喜びます。長靴をはいて傘をさしてのさんぽです。水たまりに大胆に入ってじゃぶじゃぶ、ぴっしゃぴっしゃと足元で音を楽しみ、傘の中は特別の空間で、傘に弾けるぽつぽつなどの音が耳元に大きく響き、楽しみも大きくふくらみます。勢いあまって長靴の中に水が入ることもありますが、重くなった長靴の中のじゃばじゃばという感触も、また経験の一つです。
雨が降る日に普段できない体験をし、豊かな感性を育てる一つの手だてにしたいと思います。ただ、この雨が災害を引きおこすことなく、子どもたちや私たちにとって恵みの雨であることを心から願っています。
(園だより『くすのき』より一部抜粋)